用語集<ろ過機の構成部品➁>
2020.12.14
ろ過助剤(filter aid)
スラリー中の微粒固体やコロイド状物質などを吸着、抱合させることによってろ過抵抗を減らす、ろ材の目詰まりを防止する、高清澄度のろ液を得るなどの目的で使用される粒状物質。
ろ過助剤の使用法には「ボディフィード法」と「プリコート法」がある。
ろ過助剤として具備する要件は、嵩密度が小さい、粒子沈降の傾向が少なく多孔性で透過抵抗が小さい、ろ液に対して科学的に安定なことである。
ろ過助剤としては、珪藻土、パーライト、カーボン、セルロース、プラスチック粒、鋸屑、活性炭などが用いられる。
ろ過助剤の使用にはケークの精製に手間がかかり、ろ液の収率が低下しがちになるといったデメリットもある。一般的にろ過助剤はろ過速度とろ液の清澄度が相反する関係にあり、ろ液の清澄度を厳しく要求される場合には、助剤によるろ過速度促進の効果を少なくする必要がある。
活性炭(active carbon)
木材、鋸屑、ヤシ殻、木炭などの植物に特殊処理を施して、吸着、脱色・脱臭の能力を活性化したもの。活性化法として、「塩化亜鉛法」と「水蒸気法」の2種類がある。
活性炭の主成分は炭素で、形状としては粉末と粒状がある。粉末活性炭は製薬、油脂、化成品、精糖などに用いられ、粒状活性炭は触媒、ガス吸着、溶剤回収などに用いられる。
用語集<ろ過機の構成部品①>
2020.11.10
ろ板(filter plate)
ろ液の流路となる溝または孔あき板を持つ圧ろ器の構成要素。
ろ材(filter medium)
スラリー中の固体、含塵ガス中のダストまたはミストを補足する目的で使用する多孔性物質。
ろ枠(filter frame)
板枠型の圧ろ器の構成要素で、ろ布と共にケークを堆積させるろ室を形成する。
ろ葉(filter leaf)
円形、弧形または長方形状でその両面にろ過面を持つ葉状ろ過機のろ過エレメント。構造は丈夫な金網または溝付き板の上にろ布もしくは細かい金網を張り付けたもの。
ろ布(filter cloth)
ろ材として用いられる各種繊維の織布のことをろ布という。原糸の状態によってフィラメント製とスパン製に大別される。
フィラメントろ布は、織物の表面が滑らかで目詰まりが少なく、ろ過工程中のろ布抵抗の増大が少なく、ケークの剥離が容易。スパン製に比べて一般に強力で弾力性がある。ケークに繊維の混入することがなく、織物の切り口のほつれは加熱融解によって止めることができる。
スパンろ布は、目詰まりが早く、ろ布抵抗が増大する傾向にあるが、ろ過初期から清澄なろ液が得られるため、高清澄度のろ液を得る目的に適している。ケークに繊維が混入する恐れがある。
カレンダー(calender)
紙や繊維に光沢を付ける、ゴム、塩化ビニル樹脂を一定の厚さのシート状に圧延する機械。
不織布(non-woven fabric)
広義には、羊毛、合成繊維、及びステンレス、銅、砲金、ガラスなど各種繊維のフェルトも含めるが、一般には種々な繊維を樹脂、熱、溶剤その他で加工した物のこと。不織布は各種化学工業、特にビスコース、冷却油、植物油、飲料などのろ材として広く用いらる。
用語集<液➁>
2020.10.09
ケーク(filter cake)
スラリーを種々な多孔性物質のろ材によってろ別したときに得られるろ材面上の堆積粒子層のこと。
泥漿(slurry)
液体中の固体粒子が膠質化学的あるいは物理的攪拌などによって分散した懸濁液のこと。スラリーともいう。
スラリー(slurry)
液体中に固体粒子が分散している懸濁液、泥漿ともいう。
スラッジ(sludge)
固形粒子懸濁液の沈殿物。泥と明確に区別して使われるわけではなく、液体中に固体粒子の懸濁した物、または単にそれらの混合物に対して漠然と使用されていることも多くある。
マッド(mud)
泥漿、スラッジなどに比べて、水分の少ない固体粒子と液体の懸濁物、もしくは水と微小固体粒子の混合物を指すが、明確な定義はない。
用語集<液➀>
2020.09.09
懸濁液(suspension)
泥水のように液体中のコロイド粒子よりも大きな固形粒子が分散したものを懸濁液という。粒子は多くの場合、荷電しているので、これを沈殿させるには電解質(凝集剤)を加える必要がある。泥漿、スラリーともいう。
ろ液(filtrate)
流動性のあるスラリー(固液混合物)をろ過した時、ろ材を通過して分離された清澄液のこと。
平均粒径(average particle diameter)
平均径ともいう。単独粒子の長軸、短軸、厚さなどを平均してその粒子の粒径とするもの。また、粒径分布のある粒子群の粒径を単一の数値で表現する代表粒径の一種で、平均粒度ともいう。
粒度分布(particle size distribution)
粒体または粒子群の粒径の分布のこと。粒径分布ともいう。
粒径(particle diameter)
粒子の大きさを一次元の数値、つまり粒子の寸法で示す場合に粒径または粒子径という。
この用語は本来、球を基準として複雑な形状の粒子と見なし、粒子と同じ体積の球(等体積相当径)、同じ表面積の球(等表面積球相当径)、同じ沈降速度の球(等沈降速度球相当径)などの様に明確に定義された粒子の代表寸法。
用語集<ろ過方法➁>
2020.08.04
多層ろ過(multiple media filtration)
粒度の異なる複数の粒子層で構成したろ過層による清澄ろ過で、工場用水、上水道などのろ過に使用される。ろ層は流体の流れの方向に従って、ろ材の粒径が粗いものから細かいものへ順次配列して構成される。
最も一般的な構成は、上層をアンスラサイト、下層をけい砂とする二層、更にその下にザクロ石微砂をおいた三層がある。
閉塞ろ過(blocking filtration)
粒子が主にろ過内部で捕捉されるろ過。
圧ろ過などの様に高濃度のスラリーをろ過する場合、粒子はろ材の細孔上で架橋現象を起こし、ろ材の表面にケークを生成する。希薄濃度スラリーのろ過ではケークの生成がほとんどなく粒子がろ材の細孔内に堆積して次第に細孔を閉塞するため、適当な時期にろ材を取り換える必要がある。
接触ろ過(contact filtration)
処理する溶液に吸着剤を混ぜてよく攪拌し、平衡に達した後吸着剤をろ過、沈降、または両方を併用し、除去するバッチ式の吸着操作。潤滑油の白土精製、活性炭による脱色操作などはこの方法に属する。
用語集<ろ過方法①>
2020.07.03
精密ろ過(micro filtration)
膜の孔径が10nmから数μmの膜を用いて、液中の粒子を分離する方法。メンブレンフィルターと呼ばれる膜を使用する場合も多く、メンブレンろ過ともいい、通常のろ過と限外ろ過との中間に位置する。
膜の孔の形状は膜の材料によって異なるが、真の円筒状の孔を有する膜もある。カートリッジフィルターと呼ばれるものもこの範囲に属する。
清澄ろ過(clarifying filtration)
例えばプールの水の浄化、河川水の浄化の様に固体濃度の極めて小さいスラリーを処理して、清澄な液を得ることを目的とするろ過のこと。助剤を使用するプリコート法が多く用いられ、1μm以下の粒子を分離できるろ過機も開発されている。
表面ろ過(surface filtration)
ろ過形式の一つで、ろ過において、分離された固体粒子が主としてろ材表面に堆積するろ過をいう。工業的に使用されるろ過機の多くはこのろ過形式で、固体の堆積に伴いケークの厚みが増すため、ろ過圧力が一定であれば、ろ過速度はろ過の進行とともに減少する。
薄層ケークろ過(thin cake filtration)
掃流・振動・遠心力など水力学的または機械的な手法で、ろ材表面に生成するろ過ケークの厚さをゼロもしくはある一定値以下にし、ろ液が受けるケーク抵抗を抑えてスラリーを連続的に濃縮するろ過操作のこと。
定圧ろ過(constant pressure filtration)
スラリーのろ過を行うために必要な圧力差(ろ過圧力)をろ過期間中一定に保って行うろ過操作で、恒圧ろ過ともいう。
ろ過操作は、ろ過圧力、ろ液流速がろ過時間によっていかに変化するかによって定圧ろ過、定速ろ過、変圧変速ろ過に分類される。つまり、使用ポンプの吐き出し特性によって分類される。
恒圧ろ過(constant pressure filtration)
ろ過期間中、ろ過圧力を一定に保って行うろ過操作で、定圧ろ過ともいう。
定速ろ過(constant rate filtration)
ろ液の流出速度、つまりろ過速度をろ過工程中一定に保って行うろ過操作のことで、恒率ろ過ともいう。一般にろ過初期の流出液は濁っており、希望する清澄度のろ液が得られない場合が多く、とくにろ過の初期に著しく現れる。
ろ材の背圧を制御することによって、ろ過工程中を通じて定速ろ過を行わせることもある。
恒率ろ過(constan vrate filtration)
ろ過期間中、ろ過速度を一定に保って行うろ過操作で、定速ろ過ともいう。
変圧変速ろ過(variable pressure-variable rate filtration)
ろ過の工程中、ろ過圧力及びろ過速度が時間とともに変化するようなろ過操作のこと。
渦巻きポンプまたはタービンポンプを利用した場合は一般に変圧変速ろ過になる。
用語集<運転工程>
2020.06.01
ろ過(filtration)
液体に固体が混ざっている混合物をろ材に通して液体を清澄液(=ろ液)とする分離操作で、固液分離方法の一種。
広義では、気体中の浮遊固体もしくは液体の微粒子を同様の方法で流体と分離する操作もろ過となるが、この場合はろ過集塵という。
ろ過の対象となるスラリー原液の固体濃度は数ppmの希薄スラリーから、最高20vol%程度の濃厚スラリーに及ぶ。
1vol%程以上の固体を含むスラリーのろ過をケークろ過、0.1vol%以下の場合を清澄ろ過という。ろ過機構からみるとろ材またはケーク表面で機械的に粒子を補足する表面ろ過と、ろ材層内部で物理的または化学的に粒子を補足する内部ろ過(=閉塞ろ過)に分類できる。
ろ過の操作は、必要な圧力差を操作中一定に保つ定圧ろ過、ろ液流速を操作中一定に保つ定速ろ過、渦巻きポンプを使用した場合の変圧変速ろ過に分類される。
プリコート法(precoat filtration)
ろ過抵抗の低減、ろ材の目詰防止、高清澄度のろ液の分離などを目的に、ろ過に先だってろ材上にろ過助剤の層を形成して行うろ過(=助剤ろ過)のこと。
プール用水、浴場、めっき液などの浄化や固体濃度の低い微粒子のろ過に広く用いられる。
ボディフィード法(body feeding)
ろ過助剤をスラリー原液に直接混入してからろ過を行う方法。
原液スラリー濃度が0.1~1vol%程度の時にケークろ過を促進するため、ボディフィードをする場合もある。ろ過助剤の使用法は、このほかにプリコート法があり、ろ過助剤の添加量は比較的少量(固体量の0.1~15wt%)で満足な結果が得られる。
深層ろ過(deep bed filtration、depth filtration)
砂などの粒状層をろ材とした清澄ろ過、工業用水、上水道などのろ過に用いられる。粒状層ろ過、内部ろ過、閉塞ろ過ともいう。
砂層内部を好気的条件に保ち、原液を非常に小さい流速で通過させて主に微生物の働きによって懸濁物質を除去する緩速砂ろ過と、凝集・殺菌処理など薬品の力を利用して高い分離速度でろ過を行う急速砂ろ過の2種類がある。
逆洗(back wash)
充填層(固定層、移動層)で懸濁物のろ過、浴存物質の吸着・イオン交換を行う際、一般に通液方向と逆向きに液を流して層を膨張、あるいは一部流動化させて層を洗うこと。これにより粒子外表面、粒子間にたまった懸濁物が除かれて圧力損失が減少する。
脱水(dewatering)
多孔質や堆積した粒子層に含まれる水あるいは液を機械的に分離する方法。
広義にはろ過から乾燥までも含めて指し、狭義にはろ過終了後ケークや分離した結晶の堆積層内に残留する液の一部または大部分を除去する機械的分離操作。
置換洗浄(displacement washing)
ケークの洗浄過程の初期に起きる、ケーク内の母液が洗浄液に置換されること。
洗浄流出液の溶質濃度は母液濃度にほぼ等しくなる。
ケーク洗浄(cake washing)
ケーク内に残留する溶媒を除去してケーク固体の純度を高める、または分離されるろ液の収率を上げるために行う洗浄操作。
用語集<ろ過理論>
2020.05.07
ろ過速度 (filtration velocity)
ろ材を通って流出する液体の見掛け流速。
ろ過抵抗 (filtration resistance)
ろ液の流れに対するろ材及びケークの単位面積当たりの抵抗をそれぞれ、Rm〔1/m〕、Rc〔1/m〕とするとろ過程はRm+Rcと表す。
ろ過方程式 (equation of filtration)
ろ過操作におけるろ液量とろ過時間との関係を与える方程式。
清澄ろ過式 (clarifying filtration equation)
清澄ろ過においてろ材層における懸濁粒子捕捉に関する基本式。
ろ材抵抗 (filter medium resistance)
ろ過方程式においてろ液の流れに対し、ろ材が与える抵抗。
非圧縮性ケーク (incompressible filter cake)
ろ過圧力によってケークを構成する固体粒子が変形せず、ろ液の流路が変わらないと考えられるもの。無機物は近似的に非圧縮性ケークを形成するが、形状によって粒子自体が剛体であっても、粒子間のからみ合いの変化により、圧縮性ケークに似た挙動をとる場合もある。
架橋現象 (bridge formation)
主に固体含有率の大きい液をろ過する際に起こり、原液中の固体粒子がろ孔より小さくても、ろ孔の内部あるいは周辺に粒子が堆積して、2次的なろ孔が形成される現象。
ケークろ過 (cake filtration)
濃度がかなり高く、1vol%以上の固体を含むスラリーをろ過すると、ろ過の進行につれてろ材面上にケークが成形され、そのケーク層がその後のろ過に対してろ材の役割を果たす。0.1vol%以下の希薄スラリーにおける清澄ろ過または閉塞ろ過の対比語。
浸液率 (submergence ratio)
円筒形及び円板形の回転式連続ろ過機の浸液部が中心軸において張る角度の全円周角に対する比率で、ろ過サイクル中にケーク形成時間の占める割合。