展示室のご紹介⑥

2018.11.15

 事業柱の一つであるリサイクル事業を担うのが、「資源化センターシステム」です。このシステムは、ボンベ型イオン交換機「パトローネi」を用いて個々のプロセスで捨てられていた水・薬品・金属などの資源を弊社工場内の「資源化センター」に集約し、分別回収処理を行うことで、資源循環利用を実現するシステムです。

 「パトローネi」のボンベの中には、イオン交換樹脂という液中に溶けだした金属イオンを吸着する合成樹脂が入っています。しかし、使用し続けると金属イオンを吸着できなくなる飽和状態になります。

 飽和状態になったイオン交換樹脂は「資源化センター」でボンベごと引取り、再び吸着できるように再生しています。イオン交換樹脂に吸着した重金属は分別され、山本製錬所で金属の原料として再利用し、一部の金属は弊社の電析装置で金属板として回収しています。

 これまでは、「資源化センター」の一拠点でボンベ型イオン交換塔の引取再生を行っていましたが、引取・再生・返却のリードタイム短縮を目的に2016年、東京都内に「三進RCS東日本サテライト」という拠点を開設しました。名前に東日本とあるように東日本の引取再生サービス事業をカバーし、より効率よくボンベ型イオン交換塔の再生が行えるようになりました。

展示室のご紹介⑥

展示室のご紹介⑤

2018.10.02

 弊社製品のエコエースプラスシリーズのろ過機を展示しています。このろ過機は弊社製品の中で最も販売台数が多いシリーズです。通常のろ過機が金属製であるのに対し、このエコエースプラスは樹脂製のため、一番小さいサイズだと女性でも簡単に持ち運びができるほど、非常に軽量なろ過機です。

 また、ろ材を用途に応じて選択・充填することが可能です。ろ材の種類には、カートリッジタイプですと糸巻や活性炭、メルトブローなどがあり、その他にバッグろ材、ろ布ろ材があります。

展示室⑤

展示室のご紹介④

2018.09.03

 この模型は、めっき加工の全工程で無排水処理を実現する「エコノバックシステム」の模型です。

 めっき加工の工程には、脱脂や酸洗を行う「前処理工程」、用途に応じた表面改質を行う「めっき工程」、品物に付着しためっき薬品を洗い流す「水洗工程」があります。

 弊社の製品をご使用いただくと、前処理工程ではろ過機や油水分離機などで浴液の寿命を延ばします。続くめっき工程では、ろ過機や活性炭処理でめっき薬品の精製を行い、めっき液の寿命を延ばし、品質の安定化を図ります。さらに水洗工程ではイオン交換機などにより各種金属や水を回収し、洗浄水の再利用化を図ることができるシステムになっています。

展示室4

展示室のご紹介③

2018.08.03

 展示室のご紹介①で説明した「S型ろ過機」は飲料水用ろ過機でしたが、現在弊社が製造しているろ過機は、化学処理液・クーラント液・めっき液・薬品などの工業用ろ過機がほとんどです。

 欧米諸国では比較的早い時期からめっき加工にろ過機を使用していたのに対し、戦前・戦後の日本ではめっき加工にろ過機を使用していませんでした。

 戦前の日本は、軍事力の影響で質の悪いめっき製品を東南アジアに輸出しても問題はなかったのですが、戦後になると「めっきの質が悪く、輸送中に製品が錆びてしまう」と返品される事態が多発しました。そこで、めっき関係者の方々が欧米諸国の様にめっき加工時にろ過機を使おうと弊社に白羽の矢を立てたことで、弊社の工業用ろ過機としての進路が定まりました。

 現在のろ過機と違い当時のろ過機は鋳物であったため、小型のろ過機でも大変重く、一人では持ち運ぶことができません。また、モーターポンプがろ過機の横に設置されていたという特徴もあります。

展示室のご紹介3

展示室のご紹介②

2018.07.02

 正面玄関を出てすぐ、屋外に展示している大きなろ過機は、東京オリンピックのプール用として設置したろ過機です。弊社のプール用ろ過機としては、初期のろ過機で東京オリンピック開催年の1964年から1983年まで明治神宮外苑の水泳場に設置されていました。

 残念ながら、実際の東京オリンピックの競泳競技は、代々木競技場の代々木オリンピックプールで行われました。

 現在、プール用ろ過機は、グループ会社である「三進ろ過工業」が取り扱っています。

プール用ろ過機

展示室のご紹介①

2018.06.07

 弊社の本部・犬山工場の展示室を今回から6回にわたりご紹介いたします。正面玄関を入ってすぐ目の前に弊社の自家製ろ過機第一号を展示しています。

 弊社は1948年に創立しましたが、当初は現在のようにろ過機ではなく、製粉機・搾油機・精米機などの農機具の製造販売を行っていました。創業社長は、戦時中にディーゼルエンジンの研究に従事しており、その時の経験を活かして、戦後食糧難の時代であったこともあり、製粉機の製造販売を始めました。その後、根っからの研究者であった創業社長がろ過機に興味を持ったことで、ろ過機の製造を行うようになりました。

 自社製ろ過機第一号は、素焼円筒ろ材一本立てで「S型ろ過機」と呼ばれました。創立から一年後の1949年に製造され、アイスキャンデーやサイダーなどの飲料水のろ過に使用されました。現在の弊社のろ過機はモーターポンプを搭載していますが、この「S型ろ過機」は手動式ウィングポンプを搭載しています。今は錆びついて動かすことができませんが、当時はこのレバーを回すことでろ過をしていました。

展示

計測器類その3(流量計・液面制御器)

2018.05.01

 流量計はフロートを使用した面積式、差圧を利用したオリフィス分流式、渦流式、羽根車式および電磁流量計などが使用されています。選定にあたっては対象液の成分濃度、粘度、温度、スラリー濃度、測定範囲と信号出力および瞬時流量・積算流量の表示の要否を考慮します。日常の保守管理項目としてはストレーナーの詰まり、ゲージガラスの汚れ、異物混入による詰まり、液漏れなどの点検と清掃が必要です。

 液面制御器は電極棒式、フロート式、投げ込み式、超音波式などにより水位を検知して電気信号を出力および表示して制御を行います。機器は液体の性状、スラリーの有無、腐食性、付着性、結晶性、発泡性、波立ちおよび容器の形状、寸法および容器内の障害物の有無などを考慮して選定します。保守管理項目としてはごみ、油分などの付着物の除去、腐食状況および取付け状況などの確認が必要です。

計測器類その2(センサーおよび排水分析装置)

2018.04.02

 電気伝導率計は2枚の電極間に一定の電圧を加えて流れる電流を測定するもので、排水の流入管理あるいは水回収を行う場合の水質管理に用いられます。電気伝導率は水質の良否を判断する指標であり、水の中に溶解している電解質の量が増えれば電気伝導率は大きくなります。めっき工場排水で100~4000mS/m、河川水・工業用水で5~30mS/m、複床式イオン交換処理水で0.5~5mS/m、混床式イオン交換処理水で0.1mS/m以下の電気伝導率を示します。

 生物化学的処理装置では溶存酸素濃度の管理を行っています。溶存酸素はガス透過隔膜を用いた電極センサーを利用して電気化学的に測定するが、隔膜に接している部分で酸素が消費されるので、電極には常に一定流速を与える工夫が必要です。また、電極内部の電解液も汚れるので、定期的に電解液および隔膜を交換する必要があります。

 排水処理水質のモニターとしては残留塩素計、濁度計、COD自動測定装置、BOD自動測定装置、有機汚濁計測器、全窒素自動測定装置、全リン自動測定装置、六価クロムモニター、シアンイオン測定装置、フッ素イオン測定装置、アンモニウムイオン測定装置などがあります。これらの機器はかなり高価であることから、めっき排水への適用は限られているが、有害物質の放出防止、監視強化にともなって増加の傾向にあります。

計測器類その1(pH計・ORP計)

2018.03.01

 pH計は溶液中の水素イオン濃度を測定する計器で、各種反応の制御および最終放流pHの監視などに使用しています。pHセンサーは一般用、耐フッ素用、高温用および耐アルカリ用などがあり、測定する液組成によって使い分けます。ORP(Oxidation Reduction Potential)計は溶液中の酸化還元電位(単位mV)を測定する計器で、シアンの酸化分解およびクロムの還元処理などで注入した酸化剤あるいは還元剤が過剰になった点、すなわち反応が終了した点を検知するための指標として使用しています。したがってORP計の示す電位は物質の濃度を特定するものではなく、その溶液が酸化傾向にあるのか還元傾向にあるのかを示すものです。pH計、ORP計はめっき排水処理設備を運転する上で最も重要な部分であり、定期的な点検と適正な維持管理が必要です。

 計測の信頼性向上と保守管理の軽減を目的に、センサーの超音波洗浄、ブラシ洗浄、水ジェット・エアージェット洗浄および薬液洗浄などの自動洗浄機器が普及してきています。また、保守管理およびランニングコストを下げることを目的に、比較電極内部液の塩化カリウムの定期的な補給を不要にした電極、ガラス電極(pHセンサー)あるいは金属電極(ORPセンサー)だけを交換できるチップ式電極も採用されています。

ポンプ・かく拌機およびブロワー

2018.02.01

 排水処理に使用するポンプは移送する排水、薬液の組成、濃度、比重、粘度および固形物の有無と量、スラリー組成と濃度およびポンプの設置位置と流量および揚程を考慮して用途に適したものを選定します。ポンプは遠心式、容積回転式、容積往復式などの液体の移送原理による分類、および横型、竪型、ライン式、水中式などの据付方法による分類、さらにマグネットポンプ、スラリーポンプ、自給式ポンプといった付加機能による分類があります。表5に排水処理装置に使用している主なポンプの種類と特徴、用途をまとめました。

 一般には1つの送液ラインに1台のポンプで運転しますが、主要なラインでは故障時、緊急時の対応を考慮してポンプを複数台設置して交互に運転している場合もあります。また、サイズ、型式も可能な限り共通化して融通性を持たせ、予備ポンプの台数を少なくする工夫も行われています。

 かく拌機は薬品の溶解、反応の促進、スラリーの混合などを目的にインペラー式、ブロワー式およびポンプ式が使用されます。一般的なインペラー式かく拌機は使用目的、槽容量、使用液の組成と粘度、空運転の有無を考慮してインペラー形状、大きさ、かく拌回転数、材質などを選定します。型式としては竪型、側面型、水中型および可般式のものがあり、駆動方式としては直結型、ベルト減速型、ギヤ―減速型およびインバーター方式が使用されています。仕様と異なった条件で使用した場合、かく拌効果が低下するばかりでなく、インペラーおよびシャフトの変形、溶解槽、反応槽の破損事故につながる場合もあります。

表5

貯槽および反応槽

2018.01.30

 めっき排水処理は排水中の汚濁物質を各種の物理化学的手法等を組合せて無害で安定な物質に変化させることを目的としています。ここでは一般的なめっき排水処理設備の基本構成要素である貯槽・反応槽・ポンプ類と監視および制御に使用されている計器類の概要と運転維持管理のポイントをまとめました。

 まずは、貯槽および反応槽についてご説明いたします。めっき工場では排水量が少ない場合を除いて、多くは連続式の処理設備を採用しています。排水処理装置に使用する各種の反応槽容量は表4に示すような滞留時間を基準に選定しています。但し、反応槽の構造、かく拌方法の違いなどによって滞留時間を調整し、さらに各地方自治体のガイドラインおよび緊急時の対応を考慮した各社独自の基準があればそれに従います。貯槽および反応槽の使用材質としては鉄筋コンクリート製、鋼板に耐食塗料あるいは各種のライニングを施したもの、FRP製、ポリエチレン製の成形槽などが用いられます。処理槽のライニング加工法およびFRP槽の特徴は本シリーズ「めっき関連付帯設備入門」に紹介されています。排水貯槽には鉄筋コンクリート製の地下槽が多く使用されていましたが、緊急時の地下水・土壌への汚染防止および日常の管理・検査を考慮して地上槽を選択する場合が多くなってきました。また、地下槽を利用する場合にもコンクリート製の地下槽の中にライニング槽などを入れる二重槽を採用する傾向が強まってきています。

表4