水処理 info ~ロカッキーと学ぼう~

遠⼼分離とは

2026.05.28

遠心分離とは

固体と液体を分離する方法として「沈降」や「ろ過」が挙げられます。遠心力を用いてこれらを行うことをそれぞれ「遠心沈降」・「遠心ろ過」と呼び、総称して「遠心分離」といいます。

遠心分離の身近な例として、洗濯機の脱水機能が挙げられます。洗濯槽を回転させることにより、洗濯物に含まれる水分を洗濯槽の外側に分離しています。

洗濯機

ロカッキー

遠心力を利用した分離を「遠心分離」と呼ぶんだね

遠心力とは

では遠心力とは、どのような力でしょうか。例えば、右図のように水を入れたバケツを手で持って、勢いよく回転させ続けているとき、バケツが傾いた状態になっても「遠心力によって」水がこぼれません。

この現象は、物体がそのままの状態を続けようとする性質「慣性」によるものです。したがって、遠心力について正確な表現をすると、「遠心力とは、回転座標系における慣性力である」となります。

水の入ったバケツ

ロカッキー

遠心力は慣性の法則によるものなんだね

遠心沈降

遠心沈降とは、遠心力を利用して比重差のあるものを分離する方法です。静置状態では重力のみによる沈降となるため時間がかかりますが、遠心沈降では、重力加速度以上の遠心加速度を与えることにより、沈降速度を上げて分離にかかる時間を短くできる他、装置容積をコンパクトにすることができます。液媒体と比較して、比重の大きいものほど回転体の周辺部に、比重の小さいものほど中央近くに集められます。

また、冒頭で沈降を、固体と液体を分離する方法としましたが、「比重差があって」、「互いに混じりあわない」混合物の分離に適用できる方法なので、例えば、水と油のように異なる相をつくる液体同士の分離にも用いることができます。

遠心沈降

ロカッキー

遠心力を利用することで沈降分離にかかる時間を短くできるんだね

遠心ろ過

遠心ろ過とは、遠心力を推進力として固体と液体を分離する操作であるろ過を行う方法です。装置としてはバッチ式と連続式のものがあり、バッチ式はろ過後の脱液機能まで備えているものが主流です。冒頭の洗濯機の脱水もこれにあたります。バッチ式の遠心沈降では、分離後のものが回転子内部に残るのに対し、遠心ろ過では、液体は回転子の外に放出されて内部には固体(ろ過ケーク)のみが残るという点が異なります。

遠心ろ過

ロカッキー

推進力として遠心力を利用するろ過方法なんだね

遠心分離機

遠心沈降・遠心ろ過を行う遠心分離機は、分離対象を投入する回転子を備えており、この回転子を高速で回転させることで分離を実現する機械です。回転の際に発生する摩擦熱によって温度が上がらないように冷却機能を備え付けているものが多いです。遠心分離機は大きく以下の3 種に大別されます。

  • デカンタ式
  • バスケット式
  • 高速遠心分離機

各遠心分離機の概要と特徴は以下のとおりです。

  • [デカンタ式]

    デカンタ式遠心分離機は、水平に配置された⻑いドラムとその内部にあるスクリューコンベアから成り立っています。廃水処理、化学処理、食品加工など、さまざまな産業において、主に固液分離装置として、広く使用されています。

    固体と液体の混合物が投入されると、ドラムが高速で回転し、比重の違う固体と液体が分離されます。遠心力によって固体はドラムの内壁に押し付けられ、液体は中央部分に集まります。内部に備え付けられたスクリューコンベアがドラムとの差速数十rpm 程で回転することにより、固体をドラムの一方の端へと移動させて排出し、分離された液体はドラムの他方の端から排出されます。この仕組みにより、固体と液体が効率的に分離され、連続した処理が可能です。

    スクリューコンベアで搬送される固形物

  • [バスケット式]

    バスケット式遠心分離機は、回転体(バスケット)に混合物を投入して分離を行うバッチ式の分離装置です。装置はシンプルな構造で、回転体ごと取り外して分離後の固体を回収することも可能です。また、回転体には孔の空いている有孔式と孔の空いていない無孔式があり、これらを使い分けることで遠心ろ過・遠心沈降の両方に対応することが可能です。

    遠心ろ過(バスケット式)

    遠心ろ過(バスケット式)

    遠心沈降(バスケット式)

    遠心沈降(バスケット式)

  • [高速遠心分離機]

    上記のデカンタ式やバスケット式の遠心分離機は、遠心効果(遠心加速度と重力加速度の比)が数千G 以下で運用されますが、数万G 以上の遠心効果を発生させることが可能な高速遠心分離機もあります。これは、ナノサイズの微粒子や高分子物質の分離や分級を可能にするため、医薬分野や食品分野を中心にさまざまな産業で使用されています。

    高速遠心分離機

    遠心分離は、重力場を人工的に増幅することで分離効率を飛躍的に高める技術です。処理物の性状、必要な分離精度、処理量に応じて、デカンタ式・バスケット式・高速遠心分離機を適切に選定することが重要となります。装置特性と分離原理を正しく理解することが、安定した運転と高品質な分離結果の実現につながります。

ロカッキー

用途や運用方法に適した遠心分離機を選択できるんだね

【参考文献】

  • 1)ユーザーのためのろ過/ 脱液/ 遠心分離事例集,日本液体清澄化技術工業会(2020)

Author

  • 技術研究所 S.O.

ロカッキー

お問い合わせは下記バナーをクリックしてね

<一覧へ戻る>

ページトップ