6価クロムとは?
6価クロム(Cr6+)は、水中イオンでは陽イオンではなくクロム酸イオン(CrO42-)や二クロム酸イオン(Cr2O72-)の陰イオンとして存在しています。6価クロムはめっきなどの表面処理を行う工程からの排水に含まれていることが多いです。6価クロムは毒性があり、皮膚などに付着したままにしていると皮膚炎などの原因になります。空気中に飛散した6価クロムを鼻腔から吸入し続けていた場合、鼻中隔に穴があく鼻中隔穿孔になることがあります。
水質汚濁防止法で定められた排水基準は2024年4月に0.5 mg/L以下から0.2 mg /L以下に強化されたんだよ
6価クロムの無害化
6価クロムは、3価クロムへ還元することにより、無害化することができます。6価クロムの還元に使用される物質には、亜硫酸水素ナトリウム(重亜硫酸ナトリウム)、亜硫酸ナトリウム、硫酸鉄(Ⅱ)などの2価の鉄イオンおよび亜ジチオン酸ナトリウム(次亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム)があります。
6価クロムの還元処理
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムおよび硫酸鉄(Ⅱ)と6価クロムの反応は次式のようになります。
各還元剤を使用して6価クロム1kgを還元するのに必要な薬品量は表1のようになります。
表1 還元するのに必要な薬品量
還元剤名 | Cr6+ 1kg処理に 必要な量 |
|
---|---|---|
還元剤 | H2SO4 | |
亜硫酸水素ナトリウム (NaHSO3) |
3.0 kg | 1.4 kg |
亜硫酸ナトリウム (Na2SO3) |
3.6 kg | 2.8 kg |
硫酸第一鉄 (FeSO4・7H2O) |
16.0 kg | 5.7kg |
表1より、還元剤によって使用する薬品量が異なり、亜硫酸水素ナトリウムを還元剤として使用したほうが薬品使用量を少なくすることができます。
亜硫酸水素ナトリウムによる還元処理
亜硫酸水素ナトリウムを還元処理において、液中の6価クロム濃度と酸化還元電位(ORP)の関係を図1に示します。
図1 6価クロムのORP曲線(pH2.5一定)
図1からわかることは、6価クロムが液中にある時にはORPの変化は緩やかであり、6価クロムが3価クロムにすべて還元されたときにORPが急激に変化しています。このようにORPに変化があるため、6価クロムの還元処理では、ORPを用いて還元処理の制御を行っております。
亜硫酸水素ナトリウムによる処理フローの例
以下は亜硫酸水素ナトリウムによる処理フローになります。6価クロムを3価クロムに還元しただけでは、全クロムの規制があるため公共用水域に放流できません。6価クロムを3価クロムに還元した後、3価クロムを水酸化物として沈降分離する必要があります。
工場排水は公共用水域に放流するまで様々な処理が必要なんだね
お問い合わせは下記バナーをクリックしてね
6価クロムは陰イオンとして存在しているため、水酸化物として不溶化することができないんだよ