様々なところで使われる「ろ過」
当社では主に産業分野で使用するろ過機を製造・販売しています。「ろ過機」とは「ろ過」を行って分離をする「機械」なのですが、この「ろ過」という分離方法は私たちの身近な生活の中でも良く使われているものになります。
たとえばドリップコーヒーをつくるとき、ペーパーの上に残ったコーヒー豆と、ペーパーを通過したコーヒーとに分離されますが、これは「ろ過」による分離であると言えます。
「ろ過」って何だろう?
では「ろ過」とは何でしょうか。きたない水からゴミを除いてきれいな水にすること、のように捉えている方もいることでしょう。これは間違いではありませんが、「ろ過」の定義ではなく目的にあたります。
「ろ過」を定義すると、ろ紙などの媒体を用いて固体と液体を分離すること、となります。主に固体または液体のうちどちらか一方のみを回収したい場合に用いられます。
上のコーヒーの例で説明すると液体であるコーヒーを回収したいけれど、固体であるコーヒー豆を取り除きたいという目的のために「ろ過」をしています。
他の例を挙げると、茹でた麺類をザルで湯切りする行動も、固体である麺のみを回収したいという目的のもとに行われる「ろ過」と言えます。
ろ過は固体と液体を分離することなんだね
ろ過の起源
地層を浸透する過程で不純物が除去されたきれいな地下水がつくられるように自然現象の中でもろ過が行われています。人為的なろ過を見てもその起源は有史以前と言われており、紀元前2000年頃の中国で酒造りの過程で利用されたという記録が残っています。その他にもカルタゴ人の葡萄酒ろ過についての記録等、ろ過に関する史料は数多くあります。
ろ過のはじまりはお酒造りと関係が深かったんだね
種々の「ろ材」
ろ過を行うためには固体は通過させないが液体は通過させる、という性質を持った媒体が必要です。この媒体のことを「ろ材」と呼びます。
ろ材は必ずしも一個のものとは限らず、粒状の物質を充填させた層をろ材として使用することもあります。実際にろ材として用いられているものは、粒子充填層(砂・ガラスビーズなど)・金網・織布・紙・多孔板など、形状や材質まで非常に多種多様です。ろ材の例を表1に示しています。
ろ材は、捕捉したい固体をちょうど捕捉できるくらいの細孔を持つものを選択することが好ましいです。この細孔径が大きすぎると捕捉対象の固体を通過させてしまいます。逆に細孔径が小さすぎると固体は捕捉できるものの液体も通過しにくくなり、ろ過処理のスピードが遅くなってしまいます。
このように、ろ過したい対象に適したろ材を選択することが、ろ過を行う際の重要な要素となってきます。
表1 種々のろ材
素材 | ろ材の例 | 捕捉のイメージ |
---|---|---|
粒状物質 | 砂・アンスラサイト・ガラスビーズ・活性炭 | |
多孔性物質 | セラミック・焼結金属・膜 | |
繊維状物質 | ろ紙・織布・不織布・金網 |
ろ過するためには、ろ材の選び方が重要なんだね
【参考文献】
- 柳下相三郎;循環ろ過の概要,株式会社三進製作所(1991)
ろ過は身近なところでも使われてるんだね