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COD測定方法

2024.04.25

CODとは?

CODは Chemical Oxygen Demand の略で、日本語では「化学的酸素要求量」となります。水中の有機物が化学的に酸化される際に必要な酸素量を示しており、湖沼や河川・海域などの主要な水域における汚染度を表す際に使われます。CODが高い値を示す場合は環境への負荷が大きいと言えます。

CODの測定概要

CODを測定するには、試料に酸化剤を加え、一定条件下で反応させ、そのときに消費した酸化剤の量を酸素の消費量に換算します。使用する酸化剤として代表的なものは二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)があります。注意点として、使用した酸化剤が異なると、酸化力の違いから、COD値の相関が得られなくなるため、CODの比較を行う場合は同一方法での測定が求められます。欧米では二クロム酸カリウムが酸化剤として使用されます。二クロム酸カリウムを用いた測定方法では、水中のほとんどの有機物を酸化することができます。一方、日本では環境への影響を考慮して、酸化力が弱いものの短時間で測定できる過マンガン酸カリウムが使用されています。
ここでは過マンガン酸カリウムを用いたCODの測定について説明します。

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欧米と日本では使用される酸化剤が異なるため、CODの値は比較することができないので注意してね。

CODMnの測定手順

当社が行っているCODMn測定の手順を簡単に説明します。以下の手順は、日本産業規格(JIS規格)の一つである工業用水・工場排水試験方法-第1部(JIS K 0102-1)に基づいています。

使用する薬品は次の通りです。

5 mmol/L  過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4
12.5 mmol/L  しゅう酸ナトリウム溶液(Na2C2O4
6 mol/L  硫酸(H2SO4
200 g/L  硝酸銀溶液(AgNO3

まず、KMnO4溶液の標定を行い、ファクター(補正係数)を算出しておきます。KMnO4は酸化剤として使用され、Na2C2O4は還元剤として働きます。H2SO4は試料を酸性状態にするために使用されます(KMnO4は酸性条件下で最も反応しやすいため)。AgNO3は、試料中の塩化物イオンの妨害を除くために使用します。

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実験を行う際には、試料を採取した日におこなうことが望ましいよ(基本的には採取から3時間以内)。もし当日にできない場合は、試料を冷蔵庫などで保存しておこう。

CODMnの測定手順

試料中に懸濁物を含む場合はよく振り混ぜてから手早く採取します。時間経過でCODMn値が変化する可能性があるため、試料は試験直前に採取します。採取直後に分析できない場合は保存方法が指定されている場合は指定方法で保存します。指定方法が無い場合は0~10 ℃の暗所に保管します。この時、凍結しないように注意が必要です。

1.試料を適量(最大100 mL)、三角フラスコに取り、純水を加えて合計100 mLにします。

この測定方法の定量範囲はCODMn:0.5~11 mg/Lであるため、試料の被酸化物質の量に応じて適量分取して、蒸留水で100 mLになるように希釈します。CODMnが不明の場合は予備試験を行って大まかに値を確認し、CODMnが11 mg/L以下であれば希釈する必要はないため100 mL分取します。

2.駒込ピペットを使用して、試料に約10 mLのH2SO4を加えます。

硫酸は過マンガン酸が酸性下で酸化剤として強く働くためにpH調整剤として使用します。手ごろな酸として塩酸や硝酸もありますが、これらはそれぞれ還元剤、酸化剤としての作用があるため、酸化還元作用のない硫酸を用います。

3.AgNO3を試料に加え、よく撹拌します。白濁が発生する場合は、その白濁がすぐに沈殿することを確認し、マスキング完了とします。白濁が消えない場合は続けてAgNO3を加えます。

硝酸銀は測定結果に影響を及ぼす試料中の塩化物イオンの影響を取り除くために銀イオン源として加えます。試料中に塩化物イオンが存在する場合は当量になるまで加えた上で、さらに5 mLを加えます。ただし、10 mL以上を必要とする場合には、500 g/L硝酸銀溶液を用いて当量よりも2 mL過剰に加えるか、粉末硝酸銀を当量よりも1 g過剰に加えてさらに水5 mLを加えます。塩化物イオンを除去できれば良いため、同物質量の硝酸銀粉末を用いることもできます。

4.試料に10 mLのKMnO4を加えて撹拌します。試料は紫色になります。

過マンガン酸イオンが紫色を呈色しているため、試料が紫色になります。

5.試料を100 ℃のウォーターバスに入れて30分間加熱します。

酸化反応を進行させるために煮沸水(100 ℃の水)中で30分加熱します。しっかり加熱するために、試料の液面は煮沸水の液面より下になるようにビーカーを沈めます。この時、ビーカーが倒れないように三角フラスコの首にリング型の重りを付けます。試料が透明になってしまった場合は試料中の被酸化物量が多く過マンガン酸イオンを全て消費してしまっているので、試料をさらに希釈して測定する必要があります。また、複数の試料を同時に入れると煮沸水の温度低下と取り出した後の次操作までの時間差が生じるため、複数の試料を測定するときは一定間隔あけて試験します。

6.30分経過後、試料を湯浴から取り出し、ホールピペットで10 mLのNa2C2O4を加えて撹拌します。試料は透明になります。

余剰分の過マンガン酸イオンを一定量のしゅう酸ナトリウムで反応させます。過マンガン酸イオンが全て反応するので無色になります。

7.試料が温かいうちに(50~60 ℃)、KMnO4で滴定を行います。わずかに紫色となったところが終点となります。滴定後、30秒間待ち、色が消えていないか確認します。

KMnO4を滴下することで⑤で添加した際に使われなかったしゅう酸ナトリウム量を滴定します。反応を進行させるために液温を50~60 ℃に保温します。この時、試料が紫色になるように滴定します。

8.滴定に使用したKMnO4の量を記録し、CODMn値を算出します。

CODMn値は次の式によって算出します。

a: 試料の滴定に要したKMnO4の量[mL]
b: 純水を用いた空試験の滴定に要したKMnO4の量[mL]
f: 5 mmol/LのKMnO4のファクター
V: 実験に用いた試料の量[mL]
0.2: KMnO4 1 mLの酸素相当量[mg]

【参考文献】

  • 1)日本規格協会;詳解 工場排水試験方法 JIS K 0102 解説
  • 2)石川雄章;日本釀造協會雜誌;Journal of the Brewing Society of Japan,第73巻,第12号,936-937(1978)
  • 3)石川雄章;日本釀造協會雜誌,第66巻,第9号,872-879(1971)
  • 4)W.A.Moore, R.C.Kroner & C.C.Ruhhoft, Anal.Chem, 21, 953-957(1949)
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