水処理 info ~ロカッキーと学ぼう~

アルカリ塩素法

2023.10.02

シアン化物とは?

シアン化物イオン(CN-)が金属と結合している化合物をシアン化物といいます。めっきや表面処理を行う工程からの排水に含まれていることが多いです。シアン化物イオンは微少量でも猛毒であるため、シアン化物イオンが含まれている排水は無害化してから排出しなければなりません。

ロカッキー

水質汚濁防止法で定められた排水基準は 1 mg-CN/L以下なんだよ

処理方法

シアン化物イオンは炭素と窒素の二つの元素でできている化合物であるので、酸化分解することにより完全に無害化されます。

シアン化物イオンと結合している物質(金属)によって処理方法が異なります。銅、亜鉛などと結合した形態のシアノ錯体はアルカリ塩素法で処理できます。鉄(Ⅱ)または鉄(Ⅲ)と結合した形態のシアノ錯体は硫酸鉄(Ⅱ)を加えて難溶性物質として沈殿分離する紺青法で処理します。

これ以外にもオゾン酸化法、生物分解法および活性炭吸着法などがあります。

ロカッキー

紺青法(こんじょうほう)はアルカリ塩素法の後に鉄塩を添加して難溶性物質として沈殿分離する方法だよ

アルカリ塩素法

アルカリ塩素法はシアンの処理の代表的な処理方法です。酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いて酸化反応することにより、最終的に二酸化炭素と窒素に分解します。

反応は2段階で行います。

1段反応式:(pH 10以上、ORP:300 mV以上)
NaCN + NaClO → NaCl + NaCNO (1)

2段反応式:(pH 8 、ORP:600 mV以上)
2NaCNO + 3NaClO + H2O → 2CO2↑+ N2↑+ 3NaCl + 2NaOH (2)

1段と2段反応式を合わせると以下の式(3)になります。
2NaCN + 5NaClO + H2O → 2CO2↑+ N2↑+ 5NaCl + 2NaOH (3)

ロカッキー

シアン化物イオン 1 gを無害化するのに必要な次亜塩素酸ナトリウムは約 7.2 gなんだよ

アルカリ塩素法による処理フローの例

以下は当社で提案するアルカリ塩素法による処理フローになります。工程から排出されるシアン含有廃液は金属と結合している形態が多いので、シアンを無害化しただけでは公共用水域に放流できません。シアンを無害化した後に、高分子凝集剤を添加して凝集沈殿処分離を行う必要があります。沈殿したスラッジはろ過機でろ過してろ液とろ過ケークに分離します。

ロカッキー

工場排水は公共用水域に放流するまで様々な処理が必要なんだね

図:アルカリ塩素法による処理フローの例

用語説明

ORP(Oxidation Reduction Potential)は水中に含まれる成分の酸化力と還元力の差を表したもので酸化還元電位のことをいいます。ORPは水中の成分が酸化されやすい状態か、還元されやすい状態かを表す指標です。

【参考文献】

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